未経験でWeb系の業界に転職したいけど、実際どうなの?
こんな方に向けて。
コーダーとして就職し10ヶ月が経過した(記事執筆時点)
自分の経歴は
- 都内の区役所に新卒で入庁(4年で退職)
- 地元の市役所に転職(3年で退職)
- 主夫となる(2年半)
- Web制作会社に就職(←イマココ)
「地方公務員を2か所経験した後、主夫となり、Web制作会社に就職した」という経歴を持つ。1日5時間・週5日のパートという立場ではあるが、2児の育児に忙殺されている今はこの働き方がちょうどよく感じている今日このごろだ。
さて、この記事を書こうと思ったのには2つ理由がある。
1つは半年以上経過した今、1度ちゃんと振り返ることで今後のライフスタイルを再計画したいという個人的な欲求がある。就職した当時と今では生活がガラッと変わった。第2子が誕生したし、中古戸建てを購入した。もちろん年も取った。
今の働き方が今のライフスタイルにフィットしているか、今後のライフスタイルにフィットするかを検証したい。
もう1つ、実はこちらのほうが大きいんだが、当方のブログやSNSを通じて「未経験でWeb系に就職したいが、アドバイスいただきたい」という相談がちょこちょこあって(ありがとうございますm)、個別には返答しているが「質問してこない方も知りたいかも」と考えたからだ。
というわけで、Web制作会社に就職して10ヶ月経った感想や1日の働き方、実務で使うスキルやコミュニケーションツールなどをツラツラと記していく。
転職エージェントや何かしらのスポンサーの情報にない現役コーダーのリアルな情報をお届けすることで、転職や復職する際の参考になれば幸いだ。
また、僕は発達障害の気質も併せ持っていると自覚している。注意散漫で、感覚過敏で、コミュニケーションが苦手だ。このような気質がどうWebコーダーとしての働き方に影響するかも記述していく。ご理解のほどよろしくお願いします。
Webコーダーの1日の流れ
日によって多少のズレはあるが、平均的な僕の1日はこうだ
- 7:00 起床
- 7:30 幼稚園に送る
- 8:00 業務開始(在宅勤務)
- 12:00 休憩
- 13:30 業務再開
- 16:00 業務終了
- 16:00〜幼稚園迎え、夕飯、お風呂、絵本読み聞かせ
- 0:00 就寝
新規案件やクライアントMTGなどがあれば、別途対応する。
※なお、僕の会社は在宅勤務が認められていて、フルリモートもOK。また、フルフレックスを採用しているので、働く時間をある程度コントロールすることができる。
個人的には朝の時間帯のほうが集中できるから、その日の最も重要なタスクは午前中に消化するようにしている。
私服で作業し、常時イヤホンを装着
自宅で仕事をするからスーツは着ない。かつて購入したオーダーメイドのスーツを2着残し、残りはすべて処分した。もちろん革靴やネクタイ、Yシャツもだ。
業務中はイヤホンを装着している。ノイズキャンセリング機能がついているタイプのもので外界のノイズが鼓膜を刺激しないから、目の前の業務に集中できる。人が集まる職場でイヤホンをしていたら変人扱いされるかもしれないが、自宅で個人作業だから全く問題ない。うん、かなりさいこう。
聴覚過敏の僕は、周囲の「騒音」に悩まされてきた。人の話し声、キーボードの打鍵音、電話の着信音などなど、ふつうの人は気にもとめないような音であっても僕にとっては「騒音」に感じられたのだ。音が気になってイライラし、業務に支障が生じていたので、今の環境は最高である。
そして、業務終了間際にはチームのチャットで進捗報告をしたり、翌日のタスクの確認を行うための時間が取られることが多い。
職場の雰囲気やコミュニケーションスタイル
Web制作会社の職場はフレキシブルで、カジュアルな雰囲気が多い。
具体的には
- 私服OK(スーツの人は皆無)
- フレックスタイム
- リモートワークOK
- 大企業や官公庁のような決裁システムなし
- 年度途中の配置転換あり
だが、タスクや進捗の管理には厳しいこともある。クライアントによってはサイト公開日を厳密に設定していることもあり、その場合は遅延は許されない。コーダーはサイト制作の最下流に位置するため、コーディングにかける時間が短くなりがちになる。
いくら柔軟でカジュアルな雰囲気があるとはいえ、仕事に対するプロ意識は当たり前だけど、ある。ここは勘違いしないほうがいいし、自分も気をつけている。
あとコーディングだけに専念すればいいというわけにもいかない。Webコーダーは、デザイナー、ディレクター(全体を調整する人)などと協力するため、当然だが報連相スキルは必須だ。
僕の会社ではオンラインでのやり取りが多く、SkypeやAsana、Chatworkまどのツールを用いている。こういったツールを使い、適宜適切なタイミングで報・連・相をしている。
Webコーダーの働き方の良し悪し
発達障害の気質を持つ僕にとって、こういった働き方はいい面も悪い面もある。
まずいい面から。
基本的にテキストベースのコミュニケーションだから、じっくり自分の考えを整理して相手にボールを投げることができる。オフラインでは咄嗟の返答を求められると思うが、僕は言葉が詰まり、自分の意見をうまく伝えられないことが多かった。
また、職場を自分仕様にカスタムできるのもいい。職場だと自分好みに机を移動したり、イヤホンをしたり、お菓子を食べたりすることはできないことも多いだろう。しかし、今は、大きい机に座り心地のいいイス、イヤホンを装着してチョコを食べながら仕事をしている。
次に悪い面。
わからないことをすぐに聞けないのはツラい。もちろんわからないことは一旦自分の頭で考えてみるべきだ。人に聞くのは、イコール相手の時間を奪うことにもなるからだ。また、何でも人に聞いてしまうと、自分で考えて解決するチカラが育たない。
だが、リモートワークだと自分の頭で考えてもダメなときにパッと聞くことができない。やろうと思えばできるんだろうけど、いちいちSkypeしたりメッセージを送る必要があって正直いってダルい。だけど、煮詰まっているのに聞けないから課題がそのまま放置されがちになる。
「すいません、今いいですか?!」の偉大さを痛感した次第。
Webコーダーになったからすべてがハッピーかと言えばそう単純な話ではない。得られることもあれば失うこともあるのだ。
【補足】リモートワークだと家事・育児の時間を確保できる
最近だと出社を義務付ける会社も多いが、Webコーダーの仕事はリモートワークを認めている場合が多い。
通勤が不要になるので、育児や家事の時間を確保できる。たとえば、リモートワークの日だったら子どもの送迎や突然の呼び出しにも対応できる。
とはいえ、納期が迫るとリモートワークとはいえ立て込む場合も十分にあるし、実際にあった。
ただ、リモートワークの弊害もあるという話は前述のとおり。加えて、リモートワークだと生活と仕事の境界が曖昧になる。職場=家になるから仕事が終わっても仕事が終わった感じがしないし、
柔軟な働き方を得る一方で、
育児との両立を目指す場合、あらかじめ柔軟な働き方が可能な職場を選び、自分の集中力のピークに合わせた時間管理ができると、より安定した働き方ができる。
コーディング実務におけるスキルや知識について
約1年経ってわかったのは、コーディング実務では以下のスキルが求められる。
- HTML
- CSS
- SASS
- JavaScript(Jquery)
- WordPress
- PHP
- Git/GitHub(バージョン管理)
- FTP
- Figma・Illustrator(デザイン見る)
- WordPress以外のCMS(STUDIO、Shopifyなど)
- Googleアナリティクス
- Google Search Console
- Googleタグマネージャー
ざっとこんな感じだ。僕の場合、SASSとGit・GitHub、Illustratorに関してはほぼ未学習だったので、入社してから相当苦労したし今でもわからないことにぶつかる。
ただ、入社前からすべて学習すると非常に時間がかかるから、入社後に実践で学べばよくない?という考えもある。一方で、実務ではよく使うので入社前にみっちり学習しておけばよかったなぁという後悔もある。とにかく実務ではよくよく使うから用心したほうがいい。
加えて、コーダーは技術の進化がはやく(本当にはやく⋯)、新しい知識の習得を継続的に行う姿勢も求める。よその会社は知らないが、基本的に自己学習が必要な場面が多い。進化のスピードが早すぎて悠長に研修をしている場合ではないし、経営的な問題もあるのだろう。
常にアンテナを張り、わからないことは頑張って調べて自分で身につける姿勢が重要だと痛感している。
【転職希望者向け】身につけておくべきスキルと効果的な面接対策について
Web制作会社に転職したいんだけど、どうすればいい?
ここからはWeb制作会社への転職を考えている人向けに現役コーダーの視点から話してみようと思う。
【スキル】HTML・CSS・WordPressをベースに、できればSassとGit/GitHubも
まずは技術面から。
僕が思う必須スキル(コーディング面)は下記だ
- HTML
- CSS
- JavaScript
- WordPress
- PHP
- Local
- FTP
- Git/GitHub
これらは日々コーディングの実務をする上で欠かせないスキルとなる。僕は毎日、いや毎時間触れている。
さらに具体的に言うと、
- HTML → 構造を意識しマークアップ
- CSS → 保守・管理を考えたスタイリング
- JavaScript → 基本的なアニメーションだけでOK
- WordPress → カスタム投稿タイプ/カスタムタクソノミーまで必須
- PHP → WordPressで使用するものだけでOK
- Local → 制作・修正時に必ずローカル環境を構築する
- FTP → 公開時に使用する
- Git/GitHub → すべての案件をGitHubで管理し、常にGitでバージョンを管理
前述のとおりだが、僕はGit・GitHubに関してほぼノーマークだったので、実務で大変苦労した⋯。Gitの知識とスキルがないとコーディングができないから、案件を請負うまでに数ヶ月の時間を要した。
Sassは歓迎スキルだが、必須スキルではない
会社によってはSassも必須!というところもあるかもしれない。
が、僕の意見は「歓迎だが必須ではない」だ。なぜなら、Sassが書けなくてもスタイルを当てることは可能だからだ。加えて、今だとCSSをSassに変換するツールもある。就職時にSassが書けなくても徐々に覚えていけば問題はない。
参考:変換ツール「Convert Css to Sass / Scss」
SASS記法かSACC記法問題に関しては、SACC記法が一般的だ。両者の違いを僕なりにまとめると、
- SASS記法:シンプルだが文法に厳しい
- SACC記法:CSSっぽく馴染みやすい
となる。
SACC記法のほうが初心者には取っつきやすく一般的だ。巷にあふれる本や動画情報もSACC記法を解説するものが多い。「潰しが利く」という意味でSACC記法を選択しておけばいいだろう(弊社はSASS記法)。
【仕事面】報連相・提案・探究心
技術以外のスキルとしては、
- 報連相
- 提案
- 探究心
の3つが重要かと思う。
どの職場でもそうだが、報・連・相は必須中の必須だ。「1人で作業するからコーダーはあんまり必要ないかな」と思うことなかれ。コーダーも例外ではなく、むしろかなり重要となる。
なぜなら、チームで仕事をするからだ。実際にはお客さんとの窓口になるディレクターがいてWebサイトの方向性やペルソナ、カンタンな骨格を作り上げていく。ディレクターが作成した骨子をもとに具体的なデザインに落とし込むのがデザイナーだ。コンテンツを追加するならこの場面でライターやフォトグラファーが入ることもある。
んで、最後の最後にコーダーに仕事が回ってくる。(ときに実装の可否についてコーダーに意見を求められることもあるが頻度は少ない。)
実装が難しいデザインやaltタグに挿入する文言の確認など、実務ではちょこちょこディレクターやデザイナーとコミュニケーションを取ることになる(納期が遅れるなどの相談もする。気まずいけど…)
次に提案だが、コーダーはただ受け身で仕事をするだけでなく、実装の可否や代替案の提示をする場面が多く存在する。
受け身のままでいると
- 実装が難しいのに「できます」といってしまう
- クライアントに提出後、修正地獄にあう
- ただ文句を言うだけのソフト老害になる
羽目になってしまうのだ。
自分事として仕事に取り組むことで、よりよいWebサイトを構築できるし、自分自身の保身にもなるから、ぜひ心がけてほしいし自分もそうありたい。
知らないことに好奇心を。
先述のとおりだが、コーダーの世界は流れが早い。「数ヶ月前までは〇〇だったのに、今は✗✗」みたいなことがよくある。つまり、油断していると自分の知識が古くなっていくのだ。
ここで重要だと感じているのが「知らないことへの好奇心」と「知らないことへの探求心」だ。クドいけど、技術の進化が早いので教科書的なものは存在しないから、都度調べて身につけていくことが求められる。
極端な話、業務ではわからないことだらけだ。未知の世界に対する耐性は必要だと思う。
スキル証明に、ポートフォリオ作成とブログ(SNS)運用がオススメ
コーダー就職の難しさはスキル習得とそのスキルの証明だと思う。
スキル習得は先に述べたとおりで、スキル証明にはポートフォリオ作成とブログ運営がいいと個人的には思う。
ポートフォリオ作成
ポートフォリオ作成に関しては、僕が言うまでもなく多くのWeb制作会社で「提出必須」としている。だから、Web制作会社に就職を検討している人はポートフォリオ作成を予定しているだろう。
だが、肝心なのはポートフォリオの中身だ。僕が思うに、ポートフォリオは下記があると説得力が増す。
- 習得している言語
- 扱うことができるツール
- これまで作成したWebサイト一覧と詳細ページ
- プロフィール
お問い合わせフォームを入れるかどうかは微妙だが、「フォームを挿入できる」というスキルを証明するために設置してもいいと思う。だが、採用担当者がフォームから問い合わせすることは稀だ。
サイト構成としては、
- メインビジュアル
- スキル
- 実績一覧
- 実績詳細
- プロフィール
- (プロフィール詳細)
- お問い合わせ
で、 実績詳細ページが一番見られるからココを重点的に作る。
もちろん、ポートフォリオサイト自体も自作するのがベストで、後で更新することを想定してCMSで作っておくといい。
が、そこまでリソースが割けないならノーコードCMSでもいいし、なんならパワポやGoogleスライドでもいい。最重要は「どんなスキルがあって、どんなサイトを制作できるか」をアピールすることだ。
ブログ・SNS運用は武器になる
入社後に驚いたことがある。それはブログ運営で得た知見がものすごく活用できたこと。
社長から「検索順位が落ちたから改善してほしい」と依頼されたことがある。
僕はブログのリライトのつもりで、競合他社を調べ、サチコで検索クエリを確認し、Googleアナリティクスで流入元を調べ、MicrosoftClarityでヒートマップを確認し、改善案をプレゼンした。
このブログのリライトよりもガチめに改善案を考えたわけだ。社長とクライアントからOKをもらい改善したところ、検索順位が10位前後から5位圏内にランクイン。お問い合わせ件数も月2〜3件から月10件ほどにまで回復したのだ。
「俺スゴいだろ」とドヤりたいわけではなく、ブログ運営にはWeb制作・運用のノウハウが詰まっているということだ。
具体的にブログ運営で身につくスキルは、
- オリジナルテーマ作成方法
- ドメイン取得
- サーバー契約
- サイト引っ越し
- バックアップ
- SEO知識
- WordPress管理画面の使い方
- コンテンツマーケティング
- 画像の圧縮
- プラグインの選別
- ウケるウケない記事の把握
で、オリジナルテーマを自作するならコーディングのスキルが、ユーザーに役立つ記事を書くならWebマーケティングが、分析ツールを使って運用するならアナリティクスのスキルが身につく。ブログ運営ひとつでWeb制作会社の仕事をほぼ網羅できるといっても過言ではない。
テーマ自作は厳しいなら、有料テーマを購入してもいい。とにかく自分でサーバーを契約してドメインを取得して、サイトのテーマを決めてデザインを考えてユーザーのウケる記事を書いて改善していくことが重要だ。
ブログはオワコンって聞きました…
「ブログ=副業」という認識があるかもしれないし、ブログは終わったみたいな言説もSNS上では飛び交う。しかし、僕が思うに稼ぐ必要はないし稼ぐ難易度は高いので気にしなくていい。本質は読者の役に立つサイトを作ることだからだ。
本気でWeb制作会社への就職を考えているなら、ぜひブログに挑戦してもらいたい。
面接では、誤魔化さず、現状を伝える
人によって意見は分かれるだろうが、僕は今の現状をそのまま伝えるのがベストだと思う。大きく見せすぎず小さく見せすぎず、「そのまま」だ。
採用サイドとしては、その人がどれくらいのスキルを持っていて、どういった能力があるのかを正確に知りたい。募集しているポジションに適合するのかをある程度絞り込みたいからだ。
一方、求職サイドとしても、募集しているポジションに相応しいかを判断してもらいたいはずだ。求められるレベルよりもスキルがなかったとしたら就職後に大変な思いをするだろうし、逆に求められる以上のスキルがあったら退屈だ。
できることはできる、できないことはできないとはっきり伝え、できないなら「今興味を持っていて学習しようと思う」と興味関心があることを言えばいい。…と僕は思う。
最後に
僕が紹介した働き方はあくまでもN=1だ。つまり、ひとつのサンプルに過ぎない。だから、これがすべてだと思わず、引き続き情報収集に努めてもらいたい。
が、Web制作に必要なスキルや能力に関しては、わりと普遍性があるかなとも思う。僕よりも経験が長く、詳しい人はたくさんいると思うが、少なくても10ヶ月という期間で僕が感じた必要なスキルと知識だ。ある程度参考にしてもらいたい。
この記事で書ききれないこともあったので、別の記事で書くことにする。もし、ご不明点などあればお問い合わせフォームからお問い合わせをいただければ幸いです。
皆様のご多幸とご健勝を祈念しています。
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