ヘッドホン欲しいけど、種類が多すぎて迷うな…
こんな方に向けて。
フルリモートのIT企業に就職後、Web会議が日常化した。
ワイヤレスイヤホンでWeb会議をしていたが、相手の声を聞き取りづらく、自分の声がうまく伝わらないことが多く、コミュニケーションの課題を感じていた。そこで、半年ほど前に音質に定評のあるSONYの「WH-1000XM5」を購入した。大谷翔平氏も所持していたことで有名になり、「大谷さんみたいになりたい」と思い購入を決意。
最上位モデルだけあって音質、デザイン、機能ともに申し分なかったんだけど、使っていくうちに気になるところが出てきて先日メルカリで売却した。
その代わりに購入したのがオーディオテクニカのATH-M50xBT2だ。
なぜSONYの「WH-1000XM5」に不満を感じ、オーディオテクニカの「ATH-M50xBT2」に買い替えたのかを解説する。ヘッドホン選びで迷子になっている方の参考になれば嬉しい。
SONY「WH-1000XM5」のスペック
WH-1000XM5のスペックを記載すると下記。
価格 | 45,500円(記事執筆時点) |
再生時間 | NCあり:30時間 NCなし:40時間 |
デザイン | スタイリッシュで高級感にあふれる |
音質 | 低音強めのドンシャリ系 |
マイク音質 | クリアに聞こえる |
マルチポイント機能の有無 | あり |
ノイズキャンセリングの強さ | 強い |
外音取り込み精度 | 店員さんの声がはっきり聞こえる |
日本国内にあるヘッドホンの最高峰だけあって、値段はかわいくない感じだけど、音質や性能、デザインに関してはさすが。初めて装着したときと、初めて音楽を再生したときは感動して鳥肌がたった。と同時に、スタイリッシュなデザインのヘッドホンをつけている俺!に陶酔できた。
ムダが削ぎ落とされたデザイン
繰り返すけど、デザインはムダが削ぎ落とされた感じがすごい。スタイリッシュでスーツにも合いそうだし、カジュアルシーンでも溶け込む。
SONYのロゴはサイドに小さく印字されているだけで、そこまで削るかというところまで削り散らかしたデザインだ。
長時間装着しても耳が痛くならない
実はSONYのWH-1000XM5を購入する前はJBLのヘッドホンを所持していたが、長時間装着していると耳が痛くなってしまったので手放してしまった。
が、SONYのWH-1000XM5に関しては長時間の使用にも十分耐える。僕は頭の直径が56センチくらいで面長だが、SONYのヘッドホンは1日中付けていても耳が痛くならない。
まるで自習室?納得のノイズキャンセリング
ノイズキャンセリングをカンタンに説明すると、「ヘッドホンに付いているマイクが周囲の雑音を拾って、それと同じレベルのノイズを発生することで打ち消す」というもの。つまり、音を音でかき消す。
ヘッドホンに内蔵されたマイクが、周りの音をキャッチする。この音は、波のように空気中を振動している。そして、ヘッドホンは、この振動と逆の振動を作り出すことで、まるで波がぶつかり合うように音を打ち消してしまうのだ。
これは、コンピューターが音を細かく計算し逆の音を作り出すという、とても高度な技術を使っているという。喩えて言えば、酸性の液体にアルカリ性の液体を混ぜて中和させているイメージに近いかもしれない。
もちろん完全に打ち消すわけではないので、声や大きい雑音などはある程度聴こえてくるのだが、周りの騒音を大幅に減らすことができるため、集中したいときや、リラックスしたいときにとても役立つ。
前置きが長くなってしまったが、SONYのヘッドホンはノイズキャンセリング機能が強い。騒がしいカフェでも周囲の音がスッと消えるので、まるで図書館の自習室にいるかのように錯覚してしまうほど。
ただし、若干、人の声をシャットアウトするのは苦手のようで、とくに女性や小さいこどもが発する高い音は広いやすい、と感じる。僕は使って事ないのだが、ノイズキャンセリングに関してBOSEやAppleのヘッドホンのほうが強力らしい。
とはいえ、SONYのノイキャンでも必要十分な性能と言えるだろう。
【不満点】洗練されすぎて、使い勝手が犠牲に
最上位モデルのヘッドホンなんだから不満はないだろと思うかもしれないけど、不満が出てしまった。
それが、このヘッドホンの個性でもあるデザインに関して。繰り返しになるが、SONYのヘッドホンはこれでもか!というほど余計な要素を削ぎ落としたデザインとなっていて、ハマる人にはハマると思う。僕もハマった。個性をなくすことで逆に個性を出したデザインとも言える。
だが、デザインを追求した結果、使い勝手が犠牲になっていると僕は感じた。具体的に困ったのが
- ヘッドホンの左右がわかりづらい
- ボタンが直感的に操作しづらい
- 電源ONOFFの2秒長押しがわかりづらい
といった操作性。ヘッドホンのイヤーパッドの内側には大きく「R」「L」の文字をいれてほしかった。左右のつけ間違いが頻発する。
【不満点】バッテリー持ちが悪い
wh-1000xm5は必要な機能がすべてついている反面、バッテリー駆動時間が短い。ノイズキャンセリングONで30時間、ノイズキャンセリングOFFで40時間の再生時間と公式ホームページにはあるけど、実際はもっと短く感じる。僕の場合はとくにWeb会議で頻繁に使用するからバッテリー持ちはとくに気になるところ。
会議を始めようとしたときにバッテリーがないことがよく発生して、けっこう焦った。
【不満点】低音が強調されすぎて騒がしい
SONYファンはSONYの低音に魅了されている人が多いと思うのだが、僕は好きになれなかった。
低音がやたらと強調されすぎていて、ボヤ付きが感じられるし、中高音を強い低音がマスクしていてボーカルの存在感も薄れてしまっている。
僕はYouTubeでお囃子をよく聞くんだけれど、SONYのwh-1000xm5で聞くと、大太鼓の音が小太鼓や篠笛の音をかき消しているように感じられ、ライブで聞くお囃子とはまったく別物に聴こえたのだ。
大太鼓の低音は心臓を揺さぶるほどの迫力と力強さがあって僕は好きなんだけど、SONYのwh-1000xm5だと、大太鼓の低音ばかりが強調されすぎていて、小太鼓のリズミカルで軽妙な調べやツケバチの「ツッ」という音、篠笛の澄んだ高音の響きや奏者の息遣い、鉦のシャープな音色が弱い。
まとめるとSONYのヘッドホンは、ドラムやベースといった低音の迫力と力強さに没入したい人にはオススメだが、僕のようにすべての音が調和された音楽を楽しみたい人には不向きだと思った。
バッテリー持ちと使い勝手、音質への不満が自分の中で許せなくなり先日に手放し、その代わりに購入したのがaudio-technicaの「ATH-M50xBT2」である。
audio-technica「ATH-M50xBT2」のスペック
価格 | 26,620円(記事執筆時点) |
再生時間 | 50時間 |
デザイン | カジュアルでポップ |
音質 | 原音に忠実。きれいめで上品。 |
マイク音質 | クリアに聞こえる |
マルチポイント機能の有無 | あり |
ノイズキャンセリングの強さ | なし |
外音取り込み精度 | なし |
Sonyと比べてしまうと機能は制限されるが、肝心の音質においてはまったく問題のないレベルだ。原音に忠実であって、まるでライブで聴いているかのように錯覚してしまうほど。
Sonyはいい意味でも悪い意味でも低音が強調されていて、実際の音との乖離が目立つ一方、audio-technicaはフラットだ。スマホで撮影したお祭りのお囃子を聴いたとき「あぁそうそうこれこれ!!」といった感じで、ライブで聴いたお囃子とまったく乖離がなく、それでいて、細かい音がよく聴こえてきた。
毎日使用しても1週間くらいバッテリーが持つ
Sonyの「WH-1000XM5」では、1週間仕事で使うとバッテリーが切れていて、Web会議直前に電池切れで焦るシーンが続出した。僕のように仕事メインで使用するのはレアかもしれないが、とにかくストレスだった。
が、audio-technica「ATH-M50xBT2」はバッテリー持続時間が長く、1週間安心して使える。audio-technica「ATH-M50xBT2」のバッテリー持続時間は最大50時間で、1日に4時間使っても1週間余裕で持つ。頻繁に充電する必要がなくなり、週の終わりに充電しておけばよくなった。
クセのない素直でクリアな音質
繰り返しになるけど、audio-technica「ATH-M50xBT2」の音質は原音に忠実で、聴いていて不自然な点がない。それがいい。
ありのままなら個性がないじゃん。と思うかもしれないけど、自然な音に加えて耳では聞き落としてしまう小さな音も確実に拾って耳に届けてくれてるから、音の解像度がとにかく高い。「ありのままに写す高解像度のカメラ」みたいなイメージかもしれない。
お囃子でいえば、大太鼓の「ドン」とか小太鼓の「テケテン」といったボリュームの大きい音の隠れがちな篠笛の呂音(ホーっという低い音色)や奏者の息遣い、太鼓のバチを皮に置く「ツッ」といったツケバチの音まで聴こえてくるからスゴイ。
ノールックでもボタン操作できる
ヘッドホンの上位モデルだと物理ボタンがなく、タッチパッドが備わっていることが多い。物理的なボタンではなく、スマホのようにスワイプやタップでボリュームの調整や音楽の再生ができる仕様だ。
スマートでかっこいいが、いかんせん誤操作が発生しやすい。慣れないうちは曲送りをしたいのに再生ストップをしてしまったり、音量を下げたいのに下げてしまったりと誤操作も頻発する。ゆっくりと優しくなぞるのが上手く操作するコツらしいが、僕は上手くできなかった。また、指が濡れていたり、カサカサだったりすると反応すらしない。
この点、audio-technica「ATH-M50xBT2」は各操作が物理ボタンのみになっているから、ボタンの形状と位置を覚えておけば見なくても確実に操作できる。ヘッドホンに触れた際にボタンを操作してしまうこともないのもGood。
アプリの操作性がいい
アプリの使い勝手もいい。とかく上位機種となると使える機能がてんこ盛りで、それに伴ってアプリの管理画面がごちゃつきがちになる。
だけどaudio-technica「ATH-M50xBT2」はそもそも機能が少ないので、アプリの管理画面がスッキリしていている。あれどこだっけ?っといったことがない。
接続方式、イコライザー、低遅延モード、再生系のボタンのみで、タブの切替えやページスクロールはなく1ページのみで完結する。
【不満点】やや圧迫感のある装着感
ここからは不満点を述べておく。
まず気になったのがやや圧迫感のある装着感だ。AmazonやYouTubeのレビューを見ると、「装着感がよく長時間の使用でも問題ない」といった口コミがあるが、僕の感想はちょっと違う。
3時間ほど仕事でずっとつけてみたが、耳が痛くなった。SonyのWH-1000XM5はイヤーパッドがぷにぷにしていて、かつ、締めつけが緩かったので数時間の使用でも痛くならなかった。締めつけが緩いといったが、決してガバガバではなく、ちょうどいい塩梅で緩いから頭を左右に振って外れる心配はない。
しかし、audio-technica「ATH-M50xBT2」は明らかに締めつけがキツい。加えて、WH-1000XM5に比べたらイヤーパッドのぷにぷに感も劣っていた。
ちなみに、僕の頭のサイズは直径56センチほどで、平均よりやや大きい。装着感は個人差があるが、僕の頭のサイズだときつく感じるかもしれない。
【不満点】主張が強いロゴと色合い
audio-technica「ATH-M50xBT2」のデザイン的な特徴はなんといってもイヤーヘッドのロゴとイヤーカップの銀のラインだろう。見る人がみれば「あ、オーテクのヘッドホンつけてる!」となるほど大きく目立つ。「オーテクのヘッドホンをつけて街を闊歩する俺」を味わえるデザインで、刺さる人には刺さるだろう。所有欲も満たされる。
ただ、個人的にはaudio-technica「ATH-M50xBT2」はやや主張が強くて若干恥ずかしい。「オーテクのヘッドホンをつけてるんだ」と分かられたくないので、もう少しロゴの文字サイズを小さくするとか、色を目立たなくするとかしてほしいところ。
またイヤーカップの銀のラインはいいが、オーテクのロゴが大きいから小さくしてほしかった。いや、なくても十分だ。
【不満点】ノイズキャンセリング機能がない
「ノイキャンはないが、遮音性は高い」といった口コミを信用してノイキャンなしのヘッドホンを購入したわけだが、結論から言えばイキャンはやっぱり必要だった。
というのも、先日コメダ珈琲でaudio-technica「ATH-M50xBT2」を装着しながら作業をしたんだけど、隣席のおばちゃんの話し声が丸聞こえで集中できなかったからだ。たしかに、家の中や図書館といった静かな環境であれば耳栓的な効果を感じられるが、電車や混んでいるカフェといった騒々しい空間ではヘッドホンのみでは刃が立たない。
使うシーンをよく検討の上、もし騒々しい場所でも使う機会が多いのであればノイキャン付きのヘッドホンを強く推奨する。僕はノイキャン付きのイヤホンがあるから許した。悔しい。
まとめ:目的に応じて選ぶといい
ヘッドホン選びで迷走したが、結局のところ目的をよく考えていなかったのが迷走の原因だった。
audio-technica「ATH-M50xBT2」は、フラットで繊細な音を楽しみたい人にオススメのヘッドホンだと思う。
加えて、アプリによるイコライザやサラウンドの設定も直感的で分かりやすいし、自分の好きな設定にすれば音質も満足できる。一方で、騒がしい場所で集中するために使いたい方や長時間の使用をある方には不向きかと思う。
自分の利用シーンをよくよく検討の上、もしノイキャンと装着感はいいから音質にこだわりたいならこのヘッドホンはかなりオススメだ。
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